コロナ禍にあわせて登場したかつて類を見ない大型の補助金です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援する補助金です。社員数や規模に応じて数千万円単位の上限枠が設定されています。採択率は申請する時の会や申請枠によって異なりますが、通常枠で大体50%前後、一番採択率が高い最低賃金枠で80%前後、その次に高い採択率である緊急対策枠で60~70%で推移しています。
◆申請枠の概要
申請枠には6つの類型があります。
※第9回令和5年1月16日(月)公募開始の情報です。
1,通常枠
中小企業者等、中堅企業等共に従業員数によって補助上限額は変動しますが、100万から上限8,000万までの高い補助金額が設定されています。補助率は中小企業者等3分の2 (6,000万円を超える部分は1/2)、中堅企業等2分の1(4,000万円を超える部分は1/3)です。
2,大規模賃金引上枠
中小企業者等、中堅企業等共に従業員数101人以上で8,000万円超~1億円の補助金額が設定されています。補助率は中小企業者等3分の2(6,000万円を超える部分は1/2)、中堅企業等2分の1(4,000万円を超える部分は1/3)です。
3,回復・再生応援枠
中小企業者等、中堅企業等共に従業員数によって補助上限額は変動しますが、100万から上限1,500万円までの補助金額が設定されています。補助率は中小企業者等4分の3、中堅企業等3分の2です。
4,最低賃金枠
中小企業者等、中堅企業等共に従業員数によって補助上限額は変動しますが、100万から上限1,500万円までの補助金額が設定されています。補助率は中小企業者等4分の3、中堅企業等3分の2です。
5,グリーン成長枠
中小企業者等の場合100万円~1億円で補助率2分の1、中堅企業等 の場合100万円~1.5億円で補助率3分の1です。
6,緊急対策枠(原油価格・物価高騰等緊急対策枠)
中小企業者等、中堅企業等共に従業員数によって補助上限額は変動しますが、100万から上限4,000万円までの補助金額が設定されています。補助率は中小企業者等4分の3、中堅企業等 3分の2です。
◆主な申請条件
6つの申請枠に対して共通する条件と、それぞれ個別に設定されている条件があります。
共通の補助対象要件としては、①コロナ禍以降の売上が指定されたコロナ前の3カ月間の売上高に対し10%以上減少していること、②一定の指定された数値成長を含む条件が説明された3~5年の事業計画書を認定支援機関等と共同で策定することです。
※売上高に代えて付加価値額を用いることも可能
他には、最低賃金枠の場合「2021 年 10 月から 2022 年 8 月までの間で、3 か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること」や、緊急対策枠の場合、指定された対象期間において、コロナ前と比較して足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受け、10%以上減少したことを証明する必要があります。
◆実際の申請ケース
1,産業廃棄物収集運搬業者が、一般廃棄物収集運搬業に新事業として進出
自社の敷地内にある今は使っていない不要な建屋を更地化し、コンテナや専用大型機械を導入して、遺品整理等の一般廃棄物収集運搬業に参入した。通常枠で申請。施策税抜総額は約2,800万で申請し採択。交付予定金額は3分の2の約1,900万。
2,研修施設管理システムの開発と、ウィズコロナ以降の研修の在り方を提示するための製品及びサービスの展開
遅れている研修施設管理の業界の効率化をするためのシステム開発と、コロナ以降に併せた商品群の法人販売を新事業として展開。緊急対策枠で申請。施策税抜総額は約1,300万で申請し採択。交付金額は4分の3の約1,000万。
3,焼き菓子専用のセントラルキッチンを整備し、焼き菓子を店舗やネットで販売
フルーツパーラーを運営する企業が、新たに焼き菓子の製造販売のためのセントラルキッチンを別の場所に用意し、店舗やネットで販売する。緊急対策枠で現在申請中。施策税抜総額は約3,800万で申請。交付予定金額は4分の3の約2,900万。
◆要点
・「本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか?」等の事業化点が審査項目の1つ。
・「事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか」等の再構築点が審査項目の2つ目。
・「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか?」等の政策点が審査項目の3つ目。
・補助事業終了後3~5年以内の計画で付加価値額が年平均3.0%(グリーン成長枠は5.0%)以上の増加等を達成できる見込みがあるか?
・コロナ前とコロナ後で大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点があります。
・足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点があります。
◆採択されるポイント
・事業の実現度において信憑性の高い事業計画書が書かれているか?
・事業計画書の内容が分かりやすいか?読みやすいか?思い切った大胆な事業の再構築となっているか?
・コロナ前とコロナ後の売上減少や付加価値額減少が大きければ大きいほど評価が高い。
・思い切った大胆な事業の再構築か?
・既に過去に同じようなことを行って売上を立てたことは無いか?
◆総論
一般的な中小企業の場合、申請検討する枠の優先順位は過去の採択率から考えて、①最低賃金枠、②緊急対策枠、③通常枠の順で検討するのが得策である。新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換のどれかにおいて思い切った大胆な事業の再構築がしっかりと記された事業計画書が作成できるか?が採択されるか否かの分岐点になります。
申請書を作成する側の当社から申しますと、いかに事業化点・再構築点・政策点の3つの点の勘所を押さえた事業計画書を作れるか?ということが大事です。
申請してみてこの内容で大丈夫かな?と思われるものも採択されていたりしますし、おそらくここ数年で終了するのでは?という予想もありますので、今後の成長を望む経営者の皆様は早めにチャレンジしてみる価値は十分にある補助金であると思います。
まずは頭で考えすぎず、漠然とした状態でも構いませんので事業再構築補助金にご興味のお有りの方はお気軽に当社までお問い合わせくださいませ。