ものづくり補助金

正式名は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言います。主に中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う為の設備投資等を支援します。さらに働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応しています。補助金の名前から推測すると革新的なイノベーションを含む製品の制作のみに利用できる補助金のように誤解される方は多いですが、全くそのようなことは無く、会社の規模が申請条件に当てはまっていることを前提に、生産性向上を目指す内容であれば誰もが使えるという補助金です。小規模事業者の通常枠で上限額が1,250万の補助率が3分の2という、事業再構築補助金には至りませんが、それなりに高額の補助金上限額も魅力です。事業再構築補助金は今まで行っていない新たな事業を行うことが必須ですが、本補助金は既存の事業のままで既存の事業の生産性を上げることなので、無理に新しく無理に新事業を生み出すこともなく、自社の業態を更に深化させたいという企業の方々にはうってつけの補助金であると思います。

申請枠の概要

申請枠には5つの類型があります。
※公募要領2023年1月11日の情報です。

1,通常枠

 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援します。従業員数によって上限額は変動しますが100~1,250万となり、補助率は小規模事業者(小規模企業者と再生事業者も含む)は3分の2、その他企業は2分の1です。

2,回復型賃上げ・雇用拡大枠

 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援します。業績が厳しい企業の証明として、

「応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であり、常時使用する従業員がいる事業者」であることを証明する、そして指定された期間までに給与支給総額増加率を1.5%と地域別最低賃金に対しプラス30円以上にする必要があります。従業員数によって補助上限額は変動しますが100~1,250万となり、補助率は3分の2です

3,デジタル枠

 DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援します。従業員数によって補助上限額は変動しますが100~1,250万となり、補助率は3分の2です。

4,グリーン枠

 温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援します。補助額はグリーン枠内における類型と従業員数によって補助額は変動しますが上限額は4,000万で、補助率は3分の2です。

5,グローバル市場開拓枠

 海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの)します。従業員数によって上限額は変動しますが100~3,000万となり、補助率は小規模事業者(小規模企業者と再生事業者も含む)は3分の2、その他企業は2分の1です。

主な申請条件

・補助金事業の計画期間において、給与支払総額を平均年1.5%以上増加させる等、一定条件の年の支払賃金の増加条件及び事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加を含めた3~5年の事業計画の策定が必要。

・申請をする時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必須。なお採択から交付後、賃金引上げ計画が未達の場合返還義務あり。

・補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していることが必須です。応募申請時点で、建設中の場合や土地(場所)のみを加工して建設予定である場合は対象外となります。また補助事業の実施場所が、自社の所有でない場合も、交付申請までに、所有権の移転が必須です。

実際の申請ケース

1,アルミフレーム車の鈑金修理を業界最速の短納期化で実現

外車に多いアルミフレームの車両の鈑金修理に対応できるように、溶接機と塗装乾燥ブースの導入した。この導入により、塗装乾燥スピードを短縮させることに成功し、作業工程全体からみて約30%の納期短縮が可能になった。近隣地域ではなかなか対応できないアルミフレームの外車の鈑金塗装に関して、作業時間が減りリーズナブルな価格で修理依頼を受けられるようになった。

要点

・ものづくりにおける新たな完全なるイノベーションが必要と言うよりは、近隣の地域において、同じようなサービスがない、現時点で自社しか行えないサービスであるなどの地域内における差別化ができていれば申請してみる価値はある。

・現時点で賃金アップは必須と思われる。

採択されるポイント

・補助対象者の要件に沿っているか?

・信憑性の高い事業計画書が作られているか?

・独自性の高い事業計画になっているか?

総論

小規模事業者持続化補助金と比べ、補助金額の上限金額が高いと言うこと、また事業再構築補助金は新しい事業である必要があるため、既存の事業の延長上の場合は補助金採択がされないが、ものづくり補助金は本業の延長上で、しかも従業員5人以下(0人でもOK)の小規模事業者であっても約1,100万程の投資に対して3分の2に該当する750万が上限として出ると言う魅力的な補助金であります。

採択率は、一般型で約30%から60%程度、グローバル展開型で15%から40%あります。小規模事業者で採択率が60%を超す回も多いので、取り組んでみる価値は十分にあると考えられます。

事業計画書の作成には、認定支援機関の支援が必要になると思います。もちろん当社におきましても対応しておりますので、ぜひお困りのことご相談等ございましたらいつでもお気軽にお問い合わせくださいませ。

事業再構築補助金パンフレット表
事業再構築補助金パンフレット裏