IT導入補助金

読んで字のごとくIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)とは、中小企業・小規模事業者等が、自社の抱える問題やニーズに即したITツールの導入を支援するための補助金です。ITツールとは主にパッケージソフトの本体費用・クラウドサービスの導入・初期費用等が該当します。同時にインボイス制度への対応を念頭に置いた補助金という側面もあります。

申請枠の概要

申請枠には主に4つの類型があります。
※公募要領2022年5月の情報です。

1,通常枠

 「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」「調達・供給・在庫・物流」「会計・財務・経営」「総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム」などの業務プロセスに関連し、ソフトウェア購入費、クラウド利用費(1年分)、導入関連費に対し2分の1の補助が出る。さらにこの通常型には「A類型」と「B類型」があり、「A類型」は上記業務プロセスのうち1個が該当していることが条件であるが、「B類型」はさらに汎用プロセスという汎用・自動化・分析ツールも含めて4種類以上のプロセスを保有する必要がある。「A類型」の補助額は30万円以上150万円未満、「B類型」の補助額は150万円以上450万円未満です。

2,セキュリティ対策推進枠

昨今増えてきているサイバー攻撃によって事業継続が困難になる事態の回避したり、リスクを低減するため中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の経費の一部を補助する。ITツールのサービス利用料の最大期間は約2年。本事業において補助の対象となるITツールは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスである必要があります。補助額は5万円~100万円、補助率は2分の1以内です。

3,デジタル化基盤導入類型

 本類型は、基本的には生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の支援と、インボイス制度への対応のための内容となっています。特徴として1の通常型よりも補助率を引き上げて優先的に支援すると明示されています。会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上の場合で補助額が5万~50万円までの補助率が4分の3、会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上の場合で補助額が50万~350万円の部分の補助率が3分の2と高補助率となっています。主な対象経費は、ソフトウェア購入費・クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)・ハードウェア購入費・導入関連費)です。またPCやタブレットに10万円までで補助率2分の1、レジや発券機に上限20万円までで補助率2分の1の補助が別途存在します。

4,複数化連携IT導入類型

 本類型は3の「デジタル化基盤導入類型」を複数企業で行う場合の類型です。条件は3とほぼ同じですが、連携する複数の企業の補助額の上限が3,000万以内である必要があります。

主な申請条件

・補助事業者はIT導入支援事業者により事務局に対して事前に登録されたITツールの中から導入するITツールを選択し交付申請を行う必要がある。

・補助対象となるITツールの分類に該当していること。

・適したIT導入支援事業者を選定すること。

要点

・必要なITツールが明確に分かっている企業には最適。

・事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金のように、申請時に事業計画書の作成が無いので申請の手間が少ない。

採択されるポイント

・補助対象者の要件に沿っているか?

・適切なITベンダー、サービス事業者が選定されているか?

総論

事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金に比べ規模感や補助率で劣る点も見えるIT導入補助金ですが、適切なITベンダーを探しストライクな商品やサービスを見つけることができれば、補助事業者側の手間や負担も少ないので、非常にハードルが低く取り組みやすい補助金と言えると思います。2022年度におけるIT導入補助金の採択率は66.4%で、通常枠は55.9%、デジタル化基盤導入枠は85.5%と非常に高い採択率となっています。昨今のインボイス対応も含め、フィットするITツールの導入をお考えの方はぜひ前向きに検討すべき補助金です。

IT導入補助金 パンフレット表
IT導入補助金 パンフレット裏