近年では『コンテンツマーケティング』や『オウンドメディア』等、webでの新たなマーケティング手法が非常に流行していますよね。これには単純な被リンク等の従来型のSEOに限界が見られることや、リスティング等のプッシュ型の広告手法に嫌悪感を感じるユーザーが増えて、次のマーケティング手法として2015年頃よりコンテンツマーケティング急速に拡大した事によります。今では大小関わらず様々な企業が自社のオウンドメディアを所有し、当たり前のようにコンテンツマーケティングを行っています。
そしてこういったwebマーケティングに欠かせないのが『ペルソナマーケティング』です。今まで広告関連の仕事やweb戦略などを担当していた方であれば、一度は耳にしたことがあるかと思いますが、中小企業のコンテンツマーケティングで『ペルソナ』まで導入しているという事は少ないかもしれません。
しかし、ライフスタイルも多様化し、移り変わりも非常に早くなっている現代では、web上のコンテンツ配信は顧客一人ひとりの要望にオンデマンドで対応していくことが求められています。例えば、商品やサービスに関して考えたとしても、『今この瞬間にこの商品(サービス)を求めている人』に対して、適切なタイミングで情報を提供できるように微細にターゲットを絞る、細分化されたWeb集客が求められています。
そしてそのようなニーズを満たすために欠かせないものが『ペルソナマーケティング』です。最近ではコンテンツマーケティングの意味はなんとなく分かってきたけれど、ペルソナに関してはイマイチ分からないという方も多いですので、今回は「ペルソナマーケティング」とは何かを簡単に解説し、その作り方の基本をご紹介したいと思います。
目次
そもそもペルソナマーケティングとは何?
『ペルソナ』とは、マーケティング言語の一つで、これは「企業の商品やサービスに対して、最も重要と考えられる顧客モデル」の事をいいます。そして、そういった顧客像(ペルソナ)を作り、作り上げたペルソナのニーズを満たすように商品やサービスの営業・広告活動を行う事をペルソナマーケティングと言います。
では作り出すペルソナにはどのような情報が必要だと思いますか?中小企業のコンテンツマーケティングで想定されるペルソナでは『20代中盤の女性』など、非常に広い設定がなされている場合がありますが、本来ペルソナは「氏名・年齢・性別・居住地・家族構成・職業・勤務先地域・年収のような基本属性データだけでなく、身体的な特徴や性格、生い立ちからこれまでの経歴、資格といったキャリア、趣味嗜好、ライフスタイル、ポリシー、消費行動や情報収集行動パターン…」など、まるで実在する人物の様なリアリティのある設定を細かく行う物です。時には設定したペルソナにマッチするようなビジュアルイメージまで作成する場合もあります。
これを見て「ここまで設定する必要などないだろう…」と思う方も多いかもしれませんが、近年ではライフスタイルも非常に多様化しており、情報収集方法やコミュニティーも様々です。その為、従来の様な、F1層(20から34歳の女性)、M1層(同左世代の男性)や、「大阪市在住の20代の女性」等といった大枠のセグメント分けでは顧客のニーズをとらえきれるなくなってしまい、ペルソナマーケティングが主流になってきているのです。近年では、大企業はもちろん個人経営の会社などでも当たり前のようにペルソナマーケティングを活用しています。
ただし、安心してほしい事は、これだけペルソナマーケティングが広まった事もあり、現在ではその作り方も確立され、作成支援ツールなども数多く登場しています。その為、昔は『ペルソナ』を作るだけで莫大な費用がかかっていた物ですが、近年では気軽にマーケティングに採用できるようになっています。
オウンドメディア等のコンテンツマーケティングにペルソナマーケティングを活用することは非常に重要な時代になっています。しかし、コンテンツマーケティングは広く見込み客を集客することも重要ですので、あまり狭いペルソナの設定はデメリットになる場合があります。また、公開するコンテンツはペルソナのニーズを満足させるように作る必要がある為、狭すぎるペルソナではコンテンツのネタの枯渇が非常に早くなる場合もあります。コンテンツマーケティングのペルソナ設定は、運営上の問題点も良く考えてから作成しましょう。
ペルソナマーケティングのメリットとは
それでは次にペルソナマーケティングを行う事でどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。本来、詳細なペルソナを作るには莫大な費用が必要だった時代もあり、逆に考えるとそれだけの費用をかけるだけの価値があるという事ですね。
ペルソナマーケティングにおいて、大きなメリットの一つと言われるのは「顧客のニーズにマッチしたコンテンツを提供できる」ということでしょう。ペルソナを設定するという事は、あなたのサービスや商品に対する顧客が、「どのようなメディアを使用しているのか?」「どのような情報を欲しがっているのか?」という事が分かるようになります。これらの情報が分かれば、どういった媒体にどのような情報発信を行えばいいのかが手に取るようにわかります。その為、自社で行うコンテンツマーケティングにおいても、どのようなメディアを作成し、どういった方法で情報発信していけば、どのような効果が見込めるのか予め予測することも可能になるでしょう。
その結果、広告に関する費用対効果は上がることにもなりますし、発信するコンテンツにはファン化も期待でき、webでの集客も可能となるのです。
- どのようなコンテンツを作成すればいいのかが絞れる
- 魅力的なコンテンツを発信することによりSEO効果も見込める
- 自社やサービス、商品のブランディング化にも非常に効果がある
- 広告の費用対効果が上がる
ペルソナマーケティングには上記の様なメリットがあります。
複数人でマーケティングを管理する時にも便利
ペルソナマーケティングの基本的なメリットは上で紹介したものですが、他にもメリットはあります。その中でもコンテンツマーケティングの運営を考えた時に非常に大きなメリットと言えるのが「複数人でコンテンツマーケティングを管理する場合にもターゲットのぶれがなくなる」という事でしょう。
一般的にコンテンツマーケティングの運営は、会社内の誰かひとりで行うようなものではなく、複数人で管理するのが普通ですよね。さらに、社員の入れ替わりや担当者の交代なども運営上では珍しい事ではなく、ペルソナの設定がないコンテンツマーケティングでは、ターゲットやコンテンツの内容がブレるという事が頻繁に起こります。
しかし、ペルソナの設定を行っているのであれば、「いつ?」「誰に向けて?」「どのような内容?」等コンテンツ制作やターゲットの目安が明確にある為、誰がコンテンツマーケティングの担当を行ったとしても統一した運用が可能になります。コンテンツマーケティングでは、ターゲットやコンテンツのぶれがると、顧客の迷いが生じてしまい、せっかくついたファンであっても離れてしまうといった非常に残念な結果を招いてしまう事になりかねません。
その辺りを考えたとしても、ペルソナマーケティングには大きなメリットがあると言えるでしょう。
ペルソナを作り方時の基本を抑えよう
それではペルソナを作成するときには、押えておかなければならない基本情報をご紹介しましょう。今まで一度もペルソナの設定を行った事がないという方は是非覚えておきましょう。まずペルソナの設定を行う時の基本的な流れを以下にご紹介します。
- ペルソナについての情報収集を行う
- ①で集めた情報の仕分けやまとめを行う
- 自社のペルソナの肉づけを行う
簡単にペルソナの設定方法の流れをご紹介すると上記の様になります。こう見ると非常に簡単そうに見えますが、もちろん作業的にはそれなりの手間と時間が必要になります。
以下でそれぞれについてもう少し詳しく触れておきます。
ペルソナの情報収集ってなに?
ペルソナの設定については、自社の商品やサービスに対する『顧客像』を作るとご紹介しましたよね。その為、多くの場合、自社の商品やサービスに関して都合の良い顧客像を勝手な想像や思い込みで作る人がいますが、これでは意味がありません。
ペルソナを作るときには必ず情報収集を行い、客観的な情報に基づいて作成することが必要と覚えておいてください。例えば自社の商品やサービスに関する購入者情報や顧客アンケートがあるのであれば、それをもとにコアターゲットとなるセグメントの設定を行います。
また、上記の様な自社資料以外にもアンケートや街頭インタビューの様なターゲットへのヒアリングも重要になるでしょう。ヒアリングは、基本情報はもちろん、その人の趣味趣向や購買する時の優先事項、情報収集方法などの行動パターン、購買の時の心理など、出来るだけ細かい情報まで聞き込むようにしましょう。もちろん本格的な街頭インタビューを自社で行う事はなかなか難しいものですし、外部に委託した場合は費用面も心配ですね。その為、自社の中で顧客と直接接する営業やカスタマーサポートの部署などにヒアリングを行う事も非常に重要になります。
情報の仕分けについて
①で収集した情報もきちんと仕分けをしてまとめなければ意味がありませんね。ペルソナの設定を行う場合、その情報も莫大な量になる為、この部分をおろそかにしてしまう事が多くあります。しかし、きちんと仕分け・まとめを行わなければ正確なペルソナになりませんのでがんばりましょう。
ペルソナの情報の仕分けは『KJ法』と呼ばれる手法がとても便利です。KJ法は付箋を使って同じような属性の物をわかりやすくまとめていく方法なのですが、詳しくはコチラなどで確認してみてください。
ペルソナに肉づけをする
1,2のステップを経てグルーピングされた情報を元に、自社の商品やサービスに対する顧客像を作っていきましょう。基本的に集まった情報は箇条書きの様な形で集まりますので、その情報一つ一つを説明や実際にありそうなエピソードに仕立ててペルソナシートと言われる一つのシートにまとめます。ペルソナシートにまとめられる物は基本的に以下の様な物です。
- その人の基本情報
- その人の生活スタイル
- その人の情報への接し方やアクセス方法
- その人が製品やサービスを選ぶときのポイント
- その人が現在抱えている問題や今後のチャレンジ etc
上記に、人物像に最も近い写真を用意してペルソナシートは完成です。
もちろん一度完成したペルソナだからと言って、ずっとこのままにしていてまいけません。運営に入り、様々な検証を重ね、必要に応じた修正は随時必要になりますよ。
ペルソナ作成に役立つツール
それでは最後に、ペルソナを作成するときに役に立つwebツールをいくつかご紹介しておきましょう。一昔前であれば、ペルソナ作成にも莫大な費用をかけて作るといった事が当たり前であり、どちらかというと大企業が行う物とのイメージがあったと思います。しかし、近年ではペルソナの作り方も確立されている為、以下にご紹介するような便利ツールもある為、以外と簡単に作る事も出来るようになっています。
日本全国約30,000人のデータを基に、ターゲットとなる人たちの行動やライフスタイルについて読み解くことのできる消費者分析ツールです。デスクトップから、簡単、すぐに多彩な切り口で。消費行動に関する様々なデータを分析することで、ターゲットユーザーのインサイトを読み解くことが可能になります。
引用:ぺるそね
ペルソナを構築するための分析データが不足している時に便利なのが『ぺるそね』です。日本全国約30,000人分の消費者情報がダウンロードできるので、必要な時に必要な情報を得ることが出来ます。有料・無料の両サービスがあるので詳しくは『ぺるそね』の利用規約をご確認ください。
サイト連動型のペルソナ分析ツールです。オプションで有料機能などもありますが、ペルソナ分析などの基本機能は無料で利用することが可能です。
まとめ
今回はコンテンツマーケティングを行う上で、近年非常に注目されているペルソナマーケティングについておさらいの意味で基本的な情報をご紹介しました。ペルソナという言葉は古くからマーケティング業界で聞かれる物でしたが、近年ではwebマーケティングの世界でも頻繁に聞かれるようになっています。
現在では、ターゲット顧客の情報収集方法は本当に多様化しており、従来の様な単純なセグメント分けではなかなか自社の情報を顧客層まで届ける事が難しい時代になっています。その為、せっかく時間をかけて作った優秀なコンテンツだったとしても人の目に触れる事もなく、意味のないものになってしまうといった事も非常に多く見られます。
これからのwebマーケティングには『ペルソナマーケティング』が欠かせないと言ってもいいような時代になっていますので、今はまだ取り組んでいないという方は、是非今回の情報を参考に始めて見てはいかがでしょうか!